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エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
「な、ななな! なにを言ってるの!」
「怒った顔も可愛くてさ。虐めたくて仕方がねぇんだよ、その尖った唇が可愛くてさ、こうやって奪いたくなる。ん……」
しっとりとした須王のキスは、されただけで身体が火照ってしまうが、女心をくすぐるのか、やはりキスをされた後は気恥ずかしくて、そっと俯いてしまう。須王とのキスは好きなのに、いつまでたっても慣れない。
「……お前、ツンデレっ気があるよな」
「は!? どこが!? それを言うならあなたでしょう!?」
「俺、でれでれしていても、お前につんつんしてねぇぞ。つんつんしてたのは、お前」
そう言われれば、そうかもしれない。
須王の態度は、つんつんではなかった気がする。
「俺はヤンデレかもな」
「病んでるの!?」
「ああ。お前に関しては病的に。一歩間違えれば気狂いになりそうなくらい、お前のことばかり考えてる。言ったろう、監禁したいって。他の男に目を向くのならいっそと、物騒なことも考えたくらいだ」
「……っ」
「多分俺、面倒臭い男なんだろうな。……さ、降りるぞ」
あたしは須王の腕を掴んだ。
「どうした?」
「あたしも負けないくらい、面倒な女だから」
「はは。お前は優等生すぎる。もっと俺に我儘を言えよ、もっと淫らになれよ。お前のためなら俺、なんでもしてやるから」
「……っ」
斜めから向けられるダークブルーに酔わされながら、やがて自然に唇が重なり、甘いキスに堪能して外に降りた。