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エリュシオンでささやいて
第9章 Loving Voice
 

「ふふ、お客様を浄化を意味する水晶が呼んでいるのかもしれませんね。ライトニングクォーツは雷が落ちても生き延びた石。モリオンと同様にパワーがあります。でしたら、小さめのパーツでオリオンとライトニングクォーツを二カ所ずつ、あとはスクリュータイプの水晶にして……個人的な石をと仰られましたね。少し大きめのそちらをひとつ混ぜましょう。あとは様子を見て、金や銀の飾りを入れてみましょう」

 ここから先は小林夫人の独壇場。
 あたしははぁとしか言えない。
 宝飾店で指輪とかネックレスとかを乗せるようなケースを複数出してくると、そこにイメージとばかりに円状に石を置いていく。

「お揃いで色々な色がある石ってなにかありますかね?」

「そちらも水晶にするのでしたら、ルチル(針水晶)がありますが」

 夫人が出してきたのは、水晶の中に黒、青、赤、ピンク、金、銀など、色つきの細い針のようなものが入っている玉だった。

「ご覧下さい。色々な色の針がはいっているでしょう?」

 ひとつ摘まんで見てみると、確かに細い繊維のようなものが見える。

「うわあ、面白いですね。なんで水晶の中に入るんだろう」

「ふふふ、針は針状結晶と呼ばれていて、その成分によって色が変わります。針は運を呼び込むアンテナのように思って下さい。針が多くはっきりとしているものがいいものとされています」

 お店の玉はとてもいいのか、針がたくさんはっきりと見える。

「たとえばこれは、ゴールドルチルの中でも針が太く多い、タイタンルチル。ルチルの王様と呼ばれています。効能はオールマイティーです」

 言われたのは、中でも金色の針がごっそりと入っているもの。
 王様、か……。
 だったらもう、須王しかないよね。
 
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