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エリュシオンでささやいて
第10章 Changing Voice
「奈緒さん、大丈夫?」
あたしは慌てて、蹲る女帝の背中を撫でた。
女帝はあたしに縋るようにしながら、涙目で一点を指さす。
そこにあったのは――。
「!!!」
天井に打ち付けられたフックに鎖が繋がり、そこから四方向に分かれて両手両足を背後で太い枷で拘束された美保ちゃんが、全裸で三角形のような……海老反り状態にてぶら下がっていたんだ。
しかも両胸の乳首の部分に、ネジのようなものがついた吸引式のシリンダーがついていて、その透明な筒の中で引っ張られ、乳首がかなり膨張して真っ赤になって痛々しい。同じシリンダーが股間にもあり、その中には大きく膨れあがった秘粒だろう――あまりにグロテスクで生々しい肉片がそこにあり、あたしは思わず目をそむけた。
異様なのはそれだけではなかった。
美保ちゃんの口がたこ糸のようなものでジグザグに縫われて、開かないようにされていたのだ。
「なにこれ!!」
あたしの口の中から、悲鳴のような声が迸り、あまりにホラーな拷問のように残酷すぎて、あたしも吐きたくなった。
美保ちゃんは完全に白目を向いているが、鼻から息は感じられるため、気絶をしているようだ。
だが口は太い糸を直接肉に通しているために、穴から血が出ていて、牧田チーフのように失血しているため、身体が衰弱している。
須王が椅子の上に乗り、両手でフックから鎖を外して下に下ろしたが、枷はどうやって外れるのかわからず、チェーンカッターのような工具がなければ、ピーンと張っている太い鎖を切ることは難しい。
牧田チーフといい、こんなことをするなんて、人間じゃない。
冷酷な殺人鬼のいたぶりだ。