この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
 

 しばらく須王はなにも言わなかった。
 そしてあたしの頭の上で頬ずりをすると言った。

「なんなの、お前。その破壊力ある口説き文句」

「は!?」

「俺がお前に結婚しようと言ったより、強烈じゃねぇかよ。お前が俺の帰る場所になってくれるなんて……俺史上、お前に好きと言って貰えたくらいの、最高の言葉なんだけど」

「そ、そう……?」

「はぁ……。やべぇな」

 須王があたしの頭の上でもぞもぞする。

「すげぇ嬉しくて、顔が緩む。なんなんだよ、俺をどうしたいんだよ、お前。ああ、顔が熱くてたまんねぇ!」

 真っ赤になって緩んだ超絶美形の顔だと?
 
「え、見たい」
「やだ」

 伸びをしようとしたが、須王が身体全体でホールドにかかる。

「見たい。見せて? 王様の緩んだ顔なんてレアものじゃない」

「駄目だって。お前でも見せねぇよ」
 
 抱擁という名で動きを制されて、須王の顔を見ることは出来ない。
 だけど――。

「……乗り切ろうな」

 落とされた言葉は真剣で。

「うん」

 あたしも真面目に返事をした。

「乗り切ったら……もう一回言うから。お前にきちんとプロポーズする」

「……っ」

「どうしようもないくらい、お前が好きだ。胸の真ん中、焦げそうなほど」

 あたしは心臓が苦しくて、須王の服をぎゅっと掴んだ。
 そして――。

「くしゅん!」

「お前……なんでここでぶった切る」

「ごめん。くしゅんっ」

「ああ、冷えちまったかな。ちょっと、ドライブ行くか。車に乗ってろ」

「え、戻らないの?」

「ああ。お前の口説き文句にやられちまったから、戻れねぇ。お前とふたりきりでいさせて? やばいくらいにお前を甘やかしてぇんだ」

 ぼっと顔が赤くなる。

「も、もう甘やかされているよ?」

「俺の愛、なめんなよ?」

 笑いながら須王はあたしを黒い車の助手席に押し込むと、運転席に座りエンジンをかけて、暖房を入れてくれた。
 そして、こんなに近いところにいるのに、プライベート用のスマホを手にして、御殿の中の棗くんにLINEをしたようだ。
 
「久しぶりのデートだ」

 そう笑う須王はとても嬉しそうで、あたしも破顔した。
 
 シフトレバーが倒され、要塞から車は出る。

 もの悲しい満月が照らし出す夜空の元を、闇色の車は走った。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ