この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第3章 Dear Voice



 *+†+*――*+†+*



 赤レンガパークは、赤レンガの建物の真横、海沿いに南北に延びるスペースで行われる。

 入場の際に係員さんが名刺の提示を求め、あたしと早瀬が名刺を渡せば、早瀬の名刺を見ただけで、係員さんはすぐに中に入れてくれて、パンフレットが渡された。

 同じ会社にいるのにこの差別!
 ちょっとくらいあたしの名刺にも目を通してくれればいいのに、早瀬の連れだということで中に通されるなんて! 角が折れた名刺渡せばよかった!

 ぷんぷんすれば、眼鏡姿のままの早瀬が笑って人差し指で、自分の頭をトントンして見せる。

 〝頭(能力)の差〟

 そう言われた気がして、さらにぷんぷん怒ってそのまま屋外を歩いていた時、ドラムの音が聞こえ始めた。

 足でペダルを踏んで音を出すバスドラ(ム)がズンズンと一定のリズムを刻み始め、やがて、アタック感の強い硬質でシャープなスネア(ドラム)の音が鳴れば、キュイーンと音をたてて、ざらついて歪みある低音のベースがドラムのリズムに音程を与える。

「Overdrive(オーバードライブ)、GAIN効き過ぎ」

 早瀬がぼそりと呟いた。

 ベースにも音色を歪ませるエフェクターという小さな機材があり、「Overdrive」とはエフェクターの中のひとつだ。
 
 音量つまみしかないオーディオアンプで音量を最大限にすることで、音が割れたような歪み効果が出る。その効果をアンプに頼ればアンプの故障原因ともなるので、電圧制御された「オーバードライブ(過負荷)」というエフェクターが出来たとか。

 GAINとはオーバードライブ効果を増幅させるもので、あたしの耳には、地獄で亡者が濁点の低い悲鳴を上げているような、歪みきったベースの低音が聞こえている。 

 赤レンガパークで開催されている音楽イベントは、一般向けの公開イベントというよりは、業界人へのアピールイベントのようなものだと、素っ気なく早瀬は言った。

 参加者は大手レコード会社からの招待制。デモではなく生で、ステージに立った状態を見極めているらしい。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ