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エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
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駐車場は最寄りの、今までほぼ毎回来ていた品川のホテル内。
今までは車で来たことはなかったため、初めての駐車場だ。
駐車場に至るまでの間、ひとが見ていなければ、とろりとした熱い視線を絡ませる度にキスをして、あたしの腰に片腕を巻き付かせて微笑んでいた須王。
ひとが見ている時にしようと、色っぽい顔を傾けて近づけさせる須王に、慌てて横に背けた唇までもが啄むように奪われながら、常識を越えて須王に抱き付いて長くキスをしたい衝動に駆られるあたしは、かなり重症かもしれない。
ひとのいない駐車場では、途中足を止めた須王がハーフコートを広げて、あたしを大きな身体ですっぽりと包みながら、耳や首をねっとりとした舌を這わせながら、切なそうにも見えるその顔で微笑み、ゆっくりと角度を変えて舌を絡めてくる。
そしてまたぎゅっとあたしを抱きしめると、震えるような熱いため息を細く長く、あたしの耳元で吐きながら囁いた。
「とりあえず、車に行こう。このままじゃ、ここでお前を抱きたくなるから。お前、ひとを気にするだろう」
ここ、つまり車が沢山ある駐車場で。
「……こ、こんなところなんて、須王は気にならないの?」
「なるわけねぇだろ。心底惚れた女目の前にいて、他のこと考えている余裕なんてあるか。俺はいつも、全力投球でお前を愛している。昔も今も」
「……っ、ちょっ」
須王が茹で蛸のように真っ赤だろうあたしの姿勢を崩し、膝裏を抱えてお姫様抱っこをして歩き出した。