この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
 

 スマホの向こう側から棗くんの声が聞こえる。

『須王~、帰りにシーバスリーガル17年ものとチータラとお醤油とクレンジングオイル買って来て』

「なんだよ、緊急性がねぇのかよ」

『あら、緊急じゃないと出ないつもりなんて、今なにをしているの?』

 棗くん強し。須王がなにも言えない。

「……その一貫性がねぇ注文はなんだ」

『ここに置き去りにされた、全員の要望』

「お前ら、俺をパシリにする気かよ……」

 疲れたような声を出す須王の横で、あたしはくふりと笑ってしまった。
 一貫性がないとはいえ、きっとシーバスリーガル……ウイスキーは小林さんで、チータラは裕貴くんで、お醤油はきっとあたしとお料理担当の女帝で、クレンジングオイルは棗くんだとわかる。

 ……棗くん、すっぴんになるんだ。まあそうだよね、お肌スベスベそうだったもの、ちゃんと化粧を落としているからだよね。
 すっぴんのお顔を見てみたい。
 すっぴんでも美人さんなのは間違いないだろうけれど。

『そりゃあ、パシらせるでしょう。勝手に抜け駆けした罰として』

「抜け駆けって、連絡したじゃねぇかよ、お前に」

『ふふふ、須王。上原サンって人気者なのよ。その人気者を突然かっ攫った時点で抜け駆けなの。ほら、さっさと買ってこないと、増えるわよ。買ってこないと、あんたのパソコンの中のデータ、裕貴にSNSで拡散させるわよ?』

「お前……わかったよ。わかった! 今から一時間以内で帰るから」

『そんな遠くにいるの? 今どこよ』

「……品川」

『だったら一時間もかからないわね。はい、ダッシュ!』

「くそ……」

 須王は電話を切って、盛大なため息をついた。

「まだまだ抱き足りねぇのに……。久しぶりに触れたというのに……」

 恨みがましそうな目をあたしに向けて、がぶりとあたしの首に噛みついた。

「ちょ……っ」

「どこにいても、上手そうなお前が悪い!」

「な、なにそれ!」

 まったく理不尽なことを吐き捨てると、須王は運転席に戻りエンジンをかける。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ