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エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
しかし棗くんの言葉には服従する須王が、なにか可愛い。
いつも不遜な王様は、女王様の命令は却下せずに無下にしない。
「須王は……棗くんには素直だよね」
すると須王は、ふんと鼻を鳴らした。
「棗くんが女だったら須王を尻に敷きながらも、とってもお似合いのいいカップルになりそう」
いつも思うが、ちょっとやそっとの美しさではない超絶系美男美女。
身長は須王の方がちょっと高いが、棗くんだってモデルのように長身だ。
ちんちくりんのモグモグなんて及びじゃない。
「……気持ち悪ぃこと言うのやめろよ、棗は男だろうが」
「男でもあんなに美人じゃない。くらっと来たことくらい……」
「ねぇよ!」
「そ、そう?」
王様は本当に嫌そうに口を尖らせた。
須王は、男に走ることはなさそうだ。
「あれだけの美人なら、男装したら須王と張り合うんじゃないの?」
「さっきからなんなんだよ、棗棗って。棗がいい男だったら、お前棗に乗り換えてぇの?」
「え、そっちの思考に行っちゃう?」
「そっちもこっちもねぇよ。お前は俺のもんだろう? さっきはあんなに可愛く俺の名前を呼んで、俺が欲しいって蜜垂れ流してたのに」
「な、ななななな!」
「なんだよ、終われば棗棗って。やっぱりもう三回ほどイキまくらせればよかった。これから抱いていい?」
「お買い物でしょう!? いいの、須王のデータSNSに拡散しても!」
不機嫌そうに舌打ちをした須王の瞳には、きらきらと夜景が映る。