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エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
 

「……ブルームーンを見るんでしょう?」

「それはお前への誘い文句だ。……買い物ついでにゴムも大量に買うか」

「あ、あなた有名人でしょう? そんなの見られたら……」

「構わねぇよ。お前とのことを隠す気なんてさらさらねぇよ。なんでひとの目を気にして、お前との付き合いをセーブしねぇといけねぇんだよ。十二年ごしの俺の片想いが実ったんなら、やりてぇことさせろってんだよ」

 ……ここまで来たら清々しい気もする。

「それに、こんなんじゃお前は満足してねぇだろ。お前の身体をそう変えたのは俺だ。お前の身体のことはわかっている」

 ……正直、もっとくっついていたかった。
 また繋がりたいと言われる度に、今ですらあたしの身体は熱く潤ってしまうんだ。彼を迎え入れたいと、胎内が疼く。

「べ、別にいやらしいことをしたいわけじゃなくて!」

「俺の愛、もう欲しくねぇの?」

「……っ」

「俺、ただいやらしいとしか、お前は感じねぇ?」

「……その言い方反則だよ」

 それが答えだ。
 心が通い合うセックスは、心も満たされる。
 ……愛されていると、幸せになる。

「じゃあ了解だな?」

「………」

「ゆーず? 明日、俺の部屋に来いよ。待ってるから」

「……行かなかったら?」

「押しかける」

「もう決定事項じゃない」

「当然」

「なんていうか……もう、あはははは」

 さすがは強引な王様だ。
 もう本当に完敗だ。

 
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