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エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
  

「どうして親は、どんな子供でも愛してくれないの? 愛してくれないのならどうしてこの世に産んだの? 無視されるのは……辛いよぉぉぉ!」

 姉と兄ばかり可愛がるあたしの母親と父親。
 ピアノが弾けなくなった途端に、あたしの声は届かなくなった。

 あたしは、そういうものだと諦めなくてはならなかった。
 自分が悪いのだから、愛されなくても当然と。
 親子でもギブアンドテイクなのだと。

 だけど、裕貴くんの家は違った。
 きっと女帝の家もそうなんだろう。

 無条件で子供を愛する親を見ていると、どうしてあたしは無条件に愛されないのだろうと思ってしまう。
 あたしは家族が嫌いだ。
 だけど愛されるのは羨ましい。

「須王を、愛してよぉぉぉぉっ!!」

 それは須王の心の共鳴だ。
 ……そう思うから。
 
「彼の苦しんだ過去を返してよっ!!」

 欲しいのは愛されているという証拠。

「あたし達を産んだ責任をとってよぉぉぉぉ!!!!」

 ただひと言でいい。
 どんなに傷つけられても子供は、親の愛情で頑張れるから。

 それなのに――。

「私は、遥しか産んでいません」

 ひとの親だというそのひとは、非情な声を出した。

「幾ら言われても私は――」

 あたしの声は届かないのだろうか。
 愛されたいと思う子供の気持ちは、届かないものだろうか。

 須王があたしの手を握った。
 冷たいその手は震えている。

「さっちゃん。あなたには……彼女達の叫びが届かなかった?」

 それは裕貴くんのお母さん。
 彼女は泣いていた。
 
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