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エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
 


 親に愛されたい。
 ただそれだけだった。

 辛い時に傍にいて貰いたかった。
 辛い時を救って貰いたかった。
 あたしの気持ちを、わかって貰いたかった。
 同時に、愛されていないと結論づくことのない、確たる証拠が欲しかった。
 
「お母さん、あたしを捨てないで……っ」

 ずっとずっと寂しくて悲しかった。
 音楽の才能がない自分が悪いと思いつつも、愛されたくて仕方がなかった。

「いらないなんて言わないで……っ」

 それが、九年前の須王の言葉で確定されてしまった。
 あたしはやっぱり、愛されない子供に生まれついたのだと。

「あたしを、ちゃんと見て……っ」

 裕貴くんのお母さんは、あたしの背中を撫でて言った。

「見てるわよ、ええと……柚だったわよね」

「は、はい」

「あなたはちゃんと愛されている。柚はいらない子ではないわ」

「……っ」

「私が産んだ、愛する子供よ」

「う……」

 そう言って貰いたかったの、あたしは。

「今まで、放置してしまってごめんね。それでもずっと、柚を愛しているわ」

 愛していると。
 愛されて生まれた子供だと。

「うあああああっ!」

 ……それが茶番だとしても、あたしは親の愛に飢えていたんだ。

 須王や棗くんに比べればマシな過去だと思いながらも、あたしの心を苛んだ〝愛の欠乏〟。それは異性で埋まることのない、根本的なもの。
 
 須王のそれを埋められたらと、ただそう思っただけだった……。

 そんなあたし達のやりとりを、須王と須王が無理矢理連れた棗くんが、ドアを少し開けて聞いていたことには気づくことはなく。

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