この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice


「それだな」

「それね」

 須王と棗くんが同時に言った。

 ……なにが「それ」なのか、あたしのおつむではわからない。

「え、髪が薄いこと?」

 裕貴くんの声を、須王は笑いながら否定した。

「宮田家の女性陣から父親を操作しやすくさせた。だが、あまり家にいないだろうに、家族を使ったのはどうかとも思うが」

「そう考えたら、遥操作の意味も強いのだろうけれど」

「警視総監を抑えながらも、メインは遥か」

 どうしてこのふたりは、一を聞いて同じ十を知れるのだろう。

「そういえば棗姉さん、さっちゃんに〝遥を自分の子供だと言い張ることを含めて〟と言っただろう? 遥はさっちゃんの子供じゃないと、そう棗姉さんはそう言ったの、あの時」

 そうだ。確かに棗くんはそう言った。
 棗くんはたっぷりと間を取ってから、言った。

「ええ。あの女、遥は産んでいないわ、恐らくは」

「なんで言い切れるんだ?」

「子供を産んだ母親の顔をしていなかった。言わば裕貴のお母さんと正反対のところにいて、遥の話題には他人事のように表情を変えなかった」

 須王の場合は、わかりやすいほど動揺したというのに。

「だから、産んではいないけれど、世間様には産んだように見せかける必要があるのだと、私は思った。その手段のひとつが、宮田家じゃないかしら」

「だけどさ、そのためにあの気味悪い宗教がなんで出てくるんだよ」

 そう、記憶を曖昧にさせたのが、さっちゃんが持ってきた〝天の奏音〟で用意されたものだとしたら、遥くんとさっちゃんは、あの宗教が認知して、バックアップしていることになる。

「これは仮定だけど……」

 棗くんが言った。

「天の奏音の教祖、大河原重正は誰かの手によって終身刑だったはずの身柄を、こっそりと檻の外に出されて、その誰かのために動いている。そう考えれば、さっちゃんにAOPにも似たものを渡したのは、教祖の意志は入っていないのかも知れない。教祖だけではなく、遥もまた……利用されているのだと」
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ