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エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
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再び東亜大付属病院――。
あたし達を遥くんの病室から追い出した、あのいけすかない医師の素性を調べに、あたし達は病院に舞い戻る。
再び遥くんが居る入院病棟のナースステーションに来てみたけれど、生憎ナースは全員お留守だった。
誰かが戻るまでここで待ってようとしたのだけれど、ここに慣れている裕貴くんがすたすたと歩き、やがて白髪交じりの年配のナースの捕獲に成功。破顔して片手を大きく振る裕貴くんの元に、ぞろぞろと集まった。
「このナースは師長さん。このフロアの患者のことは、なんでも知っているんだ。適役を見つけてきただろう、俺」
裕貴くん、鼻高々に背中を反り返したが、須王は無視して師長さんに尋ねた。
「堀内遥くんの担当医についてお伺いしたいのですが」
すると須王の美貌をまじまじと見ながら、彼女はあっさりと言った。
「遥くんの担当医は、坪内医師ですよ」
「その坪内医師はこの病院の医師で?」
「ええ、そうです。坪内先生に御用で?」
「はい」
須王は頷いて見せた。
「ああ、残念ながら坪内先生は学会で昨日からお休みなんです」
途端、あたし達は顔を見合わせた。
「数時間前に会いましたが!」
思わずあたしは鼻息荒く言ってしまう。