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エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
 

――破産したが、ある音楽の協会が資金を援助して、オリンピアは助かったそうだ。

「オリンピア……」

 そう、オリンピアの話をしていた時だ。

――その協会の副会長が、現忍月コーポレーション副社長、忍月栄一郎だ。そして団体代表理事が、現MSミュージック社長、三芳英雄。ちなみに言えば、副会長はMSミュージックの専務理事に就いていて、三芳社長と懇意にしているらしい。三芳社長は副会長の金のなる木だ。

 オリンピア……朝霞さんが変貌するに至った、オリンピアを救った音楽協会の副会長だったはず――。

 一生懸命思い出したあたしが、その真偽を求めて須王に聞くと、須王はぶっきらぼうに、限りなく嫌々そうに頷いた。

 なによ、まるで渉さんの話題を出した時のような、嫌悪感。
 教えてくれたのは、須王じゃない。

 ……忍月コーポレーションの専務だけではなくて、副社長とも交流あるのかしら、このひと。忍月コーポレーションに昔いたとか? ありえないけど。

「つまり……」

 須王が吐き捨てるようにして言った。

「この件は、忍月が関わっているというのか。忍月の中枢か、それとも栄一郎の独断か」

 彼の目には、怨恨のような昏く激しい光が宿っている。

「どこまで、忍月は汚ぇんだ……」

 その目があまりに怖すぎて、同時にその呟きがあまりにも痛々しくて、誰もそのことについては聞き返すことは出来なかった。


***

 読者の皆さまへ

 かなり更新をお休みしてしまい、ごめんなさい。
 お知らせにも書きましたが、危篤だった祖母が少し落ち着いたのと、私の中耳炎の痛みが治まってきたのとで、更新を無理ない程度に再開します。

 この1ヶ月の間、たくさんのメッセージを頂きました。
 すべて返信することが出来ず、申し訳ありません。
 すべて読ませて頂いております。
 本当にありがとうございました。

 お詫びとお礼を兼ねて、新作「シンデレラは魔法を信じない」を公開しました。拙く短い物語ですが、お暇つぶしになれば。

 状況によりまたお休みすることがあるかもしれません。
 書くのが好きなので、出来る限り更新はしたいと思いますが、もしも無理な時は、すみませんがご理解頂ければ幸いです。
 今後とも、どうぞよろしくお願いします。

 2017-09-01
 奏多 拝
/1002ページ
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