この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第12章 Blue moon Voice
*+†+*――*+†+*
残念ながら、ナダマンが持っている情報はそれだけだったらしい。
それでもHARUKAの身元がばれていないのは、裕貴くん情報を使用していたからだったという情報を得た代わりに、ナダマンに須王の秘蔵っ子である裕貴くんの名前がばれてしまった。
――名高社長。裕貴は俺が離しませんからね?
念を押している須王を見た、裕貴くんのにやにやが止まらないこと!
あたしもちょっぴり妬けちゃうくらい、須王は裕貴くんを特別に思っているらしい。
――しかし、HADESプロジェクト、驚いたよ。早瀬くんがあのオリンピアと提携するなんて。
さすがは音楽業界の大ボスだ。その話も耳に入っているのか。
――提携していませんよ。俺があんな程度のプロジェクトをすると? やるならもっと凄いことをしますから。
その凄いことの担い手はギターの裕貴くんであり、ベースの棗くんであり、ドラムの小林さんであり。雑務兼広報のあたしと女帝であり。
――え? 無関係? 勝手にきみの名前を使ったと!? それはいかん、いかん! ルール違反だ! だけど……関わり合ってなくて正解だったかもしれない。オリンピア、あのプロジェクトがコケて、今じゃ社長は責任放棄で行方不明というじゃないか。
ナダマン情報に、ぞわりとした。
朝霞さん、まさか闇の組織に連れ去られたの?
なにより朝霞さんとはいまだ電話はおろか、LINEもメールも音沙汰なしで、連絡がとれていないのだ。
オリンピアに行けるような状況でもなかったけど、まさかそんな状況になっていたとは。