この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第12章 Blue moon Voice
 

 用意された椅子に座ったが、しとしとと雨が降っている。

 それでもあたし達は、願い事を叶えてくれるブルームーンが顔を出すのを、待ち続けた。……手を繋いで。

 いつしか、あたし達は願いごとのためにブルームーンを待っているのではなく、ブルームーンの出現を願うようになる。

 何十分待っただろう。
 やがて、奇跡は起こったんだ。

「あれ、雨止んだ?」

 雨音が止まった。
 それと同時に、誰かが雲を吹き飛ばしたかのようにして、煌々と輝くブルームーンが見えたのだ。

「須王、ブルームーンだよ! 出てきてくれたよ!?」

 あたしは須王の手を取って大喜び。
 須王も仄かに顔を緩めて、笑みを零した。

 すぐに雲に隠れてしまい、さらにまた雨が降ってきて、ブルームーンは二分見えていたかどうかの刹那の時。

 だけど時間なんて関係がない。
 雲間からブルームーンは出てこないと思いながらも、出てくると信じて待った結果、姿を現してくれたことに意味があると、あたしは思うから。

「信じていれば、必ず叶うんだよ!」

 そう、ブルームーンが教えてくれたような気がして。

 諦めるなと。
 願い続けろと。
 信じ続けろと。

「どんなに暗雲が立ちこめて、絶望的な状況でも、信じて願い続ける限りは必ず叶う。だから諦めないで、信じ続けようよ。不幸になるために、生まれてきたわけじゃないって。信じれば、絶対幸せになるんだって」

 愛されなかった子供だったのは、お互い様。
 愛に飢え、それでもあたし達は、誰かを愛することが出来た。
 それって凄いことでしょう?
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ