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エリュシオンでささやいて
第13章 Moving Voice
「あああ、須王、駄目、あたし、あああああっ」
「柚、上も……上も繋ごう」
須王が苦しそうな顔をしながら、両手であたしの頭を強制的に下げさせ、彼の舌であたしの舌を搦め取ると、あたしの口腔内で暴れる。
「ん……むぅっ、んんんっ」
「……ん、ん……ぐっ」
あたし達の同時に身体がぶるぶると震える。
あたしは須王の広い身体に包まれ、須王の剛直に深く穿たれながら、須王と共に……目覚めてから二度目の果てに駆け上ったのだった。
……それから三十分後、思うように腰が動かないあたしは、元気溌剌で色香満載でベッドの上からあたしを見ている須王にからかわれる。
「なんだ? お前一気に老けたな」
「誰のせいだと……」
「ん? だったらお前、身体鍛えねぇといけねぇな。俺とのセックスに耐えれる身体を作れ?」
「手加減するとか、優しい心は……」
「あるわけねぇだろ? 生温い愛し方してねぇから、俺」
ふっと魅せる須王の真顔に、きゅんとときめいてしまったあたしは、拳を作って湧き上がる敗北感をひしひしと感じて、悔しいと唸る。
「くぅ……」
同い年の同級生、二十六歳にして肉体年齢に年の差がついたようだ。
あたしは須王を睨んで、よたよたと朝食を作りにキッチンに向かう。
「あ、俺から皆に言っておくな。柚は後ろも開発されてお疲れだって」
「必要ありません!!」
須王が声をたてて笑った。
そこには、昨夜に見せた寂しい翳りはなく。
……少しは彼のために役立てれたのかなと思ったら、嬉しくてにやにやしてしまった単純極まりないあたし。
彼が望むものはなんでもしてあげたい。
だけど。
後ろの工事は、絶対反対!
工事の必要性はまったくありません!
そこは一団となって戦う住民運動よろしく、毅然と行こうと思いながら、どこもかしこも身体が重くて怠くて、ひぃひぃと情けない声を上げながら、老女のように廊下を歩くあたしだった。