この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第3章 Dear Voice
 

――挑戦したい。音楽やりたい。

――助けてやろうか。

 せっかく、他に無関心な早瀬が出した仏心。
 あたしだって、音楽を馬鹿にするなとタルタロスの連中に思い知らせてやりたい。

 早瀬がどう力になろうとしているのかはわからない。

 だけど早瀬だから。
 あたしが尊敬出来る音楽センスを持つ早瀬だから。

 この世で今一番必要なのは、早瀬須王の力だから。


「あの鬼畜魔王っ!! 絶対、生きて帰って来るんだから!」


 初めてのおつかい、スタート。


   ・
   ・
   ・
  
   ・

「ねぇ、お……ニイサマ。大丈夫かな、柚が運転する車ってあれだよね? 車は格好いいのに、ああ、危なっ。俺、絶対あの車の助手席に座りたくない」

「誰が乗せるか」

「ははは、ねぇあんた、車はあんたの一部だと見なすクチだから、柚だけを乗せてたんだろう?」

「名前を呼び捨てにするな」

「言えばいいじゃん、柚に。『お前が好きで信じているから、特別に運転もさせてやる』って」

「……っ、ゲホッ、お前、どうして」

「今更だって。あんた、柚を落とせないくせに、相当深くまで柚に落ちてるよな? 深みにはまって動けてなくね?」

「ゲホッ、ゲホゲホっ」

「今だって、どうせ崖から突き落として、めっちゃ心細く不安にさせておいて、後でベッドでよしよしと甘やかすつもりなんだろう。やだなあ、不器用なおじさんの考えることは。せこくてエロくて。せめて十七歳が見抜けない口説き方考えろよ」

「ゲホゲホゲホゲホ」

「ちょっと、図星指されたからって咳き込みすぎ。ダサいよ?……って、俺のギター窓から投げるなっ、ふぅふぅ、よかった間に合って」

「クソガキ」

「な、何だよ……」

「ギターパート大幅変更だ」

「いつ作った!?」

「今。お前がほざいている間に。聞いて覚えるか? それとも譜面が必要か」

「譜面があれば尚良いけど……」

「だったらあいつの帰りを待て。耳で先に覚えろ。貸せ」

「え……あ……は……へ!? な、あんた、ギターリストだったの!?」

「そんなわけねぇだろ。ただの一般人だ」

「嘘だ!!」


 などと、一室で二人組が騒いでいるのも知らず、あたしは――。

「あの鬼畜っ、なにが横浜市街地よ!!」

 ナビが到着地点を示す、車で三分もかからぬご近所さんで叫んだ。

 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ