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エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice

「さあ、選べ――」
突然の見知らぬ低い声に顔を向ければ、立っている男が、まだ意識ない女帝の頭に銃口を押しつけていた。
背を向けて女帝の横に横臥していた男は、小林さんではなかったのだ。
そしてきっとこの男が、須王が相手をしていない最後のひとりなのだろう。
殺気とは違う虚無を感じさせる男は、こう言った。
「その男を助けるのなら、この女を殺す。この女を助けたいのなら、その男を助けるな。その男は制裁に値する」
――……捨て置けるだろう?
「なに馬鹿なことを!」
あたしは悲鳴交じりの声を上げた。
すると、女帝の頭にさらにぐいと銃口がつきつけられたようで、慌てたあたしは口を噤む。
「……上原、俺は、いい。そのつもり、だったから……っ」
まさか朝霞さんは、命を賭けるつもりでここにあたし達を連れ出したというのか。
監視役がいるのをわかっていて、どうなるのかもわかっていて。
あたし達は絶対的に女帝を選ぶから、だから死ぬって?
そんなのは、許さない。
だけどどうすればいい。
助けられるのが、ひとりしかいないというのなら。
女帝か朝霞さんか。
Dead or Alive?

