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エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice
 
「――遥じゃない」

 不意に裕貴くんが言うと、天使は動ぜず乾いた笑いを見せた。

「裕貴の知る、〝ハルカ〟はもっと弱々しいか」

 どうして、こんな答えなの?

 他人なら他人だと、そう言えばいいのに――どうして彼は〝裕貴〟という名前を知っているの?

 誰かから、教えられているの?
 それとも、本当に知っていて?

「遥じゃないよ、お前は」

 そして裕貴くんは目の前でスマホを取り出し、電話をかけた。

 そう、裕貴くんにLINEを寄越した遥くんの電話。
 だから裕貴くんは、絆はないと証明しようとしたのだ。


 しかし期待は虚しく、ブルブル震えるスマホを天使は取り出して見せる。
 画面には「裕貴」と出ている。

「そ、そんな……っ、だったらお前が俺にLINEを寄越したのか?」

「そうとも言えるけど、違うとも言える」

「ふざけないで。きちんと答えなさいよ」

 苛立ちを代表したのは女帝で。

「だから精一杯きちんと答えているよ。お姉サン、助けて」

 天使はあたしに手を伸ばす。

「僕達、他人の関係じゃないじゃないか」

 その手の形は変わり、突き立てた親指以外は握られ、そしてその親指が、首の前で左から右に移動した。

 まるで、首が落ちた――とでも言うように。

 ざわりとあたしの肌が粟立ち、呼吸が引き攣った時、ガァァンと音がしてあたりはやけに静まり返る。

 須王が壁を片手の拳で叩いたのだ。

 穴こそ空かないものの、ぱらぱらとなにかが落ちてくる。

「力尽くで言わせようか?」

 すると天使は両手を挙げて、降参のポーズを取る。

「暴力反対。僕は体力に自信がないから」
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