この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice
 
 あたし達が認識する〝存在〟とは、なんなのだろう。

 同じ肉体なのか。
 同じ記憶なのか。

 たとえば裕貴くんとそっくりな肉体を持つ少年が現れて、裕貴くんの記憶を持っていたら、あたしはそれを裕貴くんだと認識出来るのだろうか。

 この世に同時期、或いは入れ替わりで多数存在している――、いわば多次元を凝縮したような並行世界(パラレルワールド)。

 それをあたしは受け入れられるのだろうか。

「これって、危険よね」 

 女帝が重々しく言った。

「自分と同じ意見の個体を増やすことが出来るのなら、どんなことでも数で押し切れるということじゃない。民主主義の日本は多数決で決定するのが主よ。だとすれば、これは勢力となれる、危険分子よ」

 ……組織エリュシオンは、だから天使や黒服を増産して実験していたのか。

 彼らの意思など無視して、違う誰かの命令を遂行出来るように。

 その時、須王と棗くんが帰ってきた。
 二人が手にしているのは、温かい飲み物だった。

「ありがとう」

 須王がくれたのは、柚レモネードだ。
 揶揄でもなさそうだから、素直に受け取った。

「工事現場で小林のふりをして俺が縛り上げた男は、棗の仲間が回収していたんだが、消えたそうだ」

 すっかり存在を忘れていたけど、囚われていたのか。
 
「まあ、死体処理の手間はなかっただけ、よかったのかもね。どこかで死体が転がっているかもしれないけれど」

 棗くんがさらりと、笑えない冗談を言う。
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ