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エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice

「……俺以外の男の前で、可愛い寝顔を見せるんじゃねぇぞ?」
寝ろと言ったのは誰だっけ。
ぼんやりと思うあたしだったが、回り込んだ須王の手であたしの顔を持ち上げられる。
熱を帯びたダークブルーの瞳。
それは情熱の炎を揺らめかせながら、ゆっくりと優しく細められる。
「欲しくてたまらなくなるから」
ちゅっとリップ音をたてて、あたしの唇が啄まれる。
「キスだけで終わらそうとしてやっている、自制心が強い俺に感謝しておけ?」
またちゅっと音をたてて、キス。
ああ、ふわふわとまだ夢心地だ。
あたしは須王の服を手でぎゅっと握りながら、息を乱して言う。
「……目覚めてこの状態で、自制心が強いとは言わない……」
ちゅっ。
「うるせって」
ちゅっ。
「ああ、くそ。とまらねぇじゃないか」
ちゅっ。
ちゅっ。
ぎしりと軋むシートの音。
そしてまた、エンドレスな深いキスに逆戻りをするのだった。
……とまあ、それが地下駐車場だったからよかったものの、唇がタラコになるくらいにあれだけキスをしているところを、誰かに見られたら、あたし……恥ずかしくて生きていられない。
最近、一層に拍車がかかる、彼の甘さ。
そのおかげで大いに惑わされるあたしは、彼の熱に触れるだけで眩眩(くらくら)としてしまい、その男らしい力強さに体が疼くようになってしまった。
しっかりするんだ、柚!
バカップルと言われたいのか!
かつて彼を嫌おうとしていた理性がそう叱咤するけれど、そんな理性だって須王の甘々モードにやられて、最近ではおとなしくなってしまうじゃないか。
「ここどこ?」
「ラブホ」
「……っ」
……だから、役目放棄して喜ぶんじゃないの、あたしの理性!

