この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice
 
 奥は階段。
 覗いてといわんばかりに開いたドア。

 お化け屋敷なみに怖い。
 もしかして、中に殺人鬼とかゾンビとか怪物がいたらどうしよう。

 ホラー嫌い。
 スプラッター大嫌い。
 
 逃げる?
 それとも、そっとドアを閉めるのが先?

 とりあえず、映画だろうがゲームだろうが、元来た道ではない別の階に移動することで、よかったねと思える展開になったことなどないだろうと、階段の使用は却下する。

 そんな時、スマホが突然震えた。
 あたしは声を上げてスマホを床に落としてしまったのだ。

 カターンという硬質な音が響くと、不快な音声がぴたりと止まる。

 気づかれた!?

 床で震えるスマホの画面には、須王の名前が出ている。

 あたしは、慌てて電話を拾って通話ボタンを押し、

「す、須王! ゾンビが……っ!!」

『ゾンビ?』

 そして、ドアを大きく広げて現れた影に、あたしは悲鳴を上げる。
 
『柚、どこにいる!?』

「階段、ドア……」

 おかしな角度で硬直した両腕と顔。

 表情も恐怖の途中で固まったように開いた口を歪ませたまま、無理矢理に首を捻って、あたしを見上げたのは。

 赤いスパンコールのドレスを着た――。


「手島さより……」


 あたしは無意識にぷつりと電話を切った。

 あたしが知る、ふくよかだった面影はなく、痩せ細って骨張っている。
 頬は痩け、化粧で隠しきれないクマがあり、目は血走りギラギラしていた。

 明らかに、様子がおかしい。
 
 あたし、怖がりだからあまりゾンビ映画は見たことがないけれど、多分こんな感じで街を彷徨しているのだと思う。

 あの奇声のような叫び声や、ものが壊れる音は彼女が?
 それともまだ誰か中にいるの?

 思わず見てしまった、彼女の赤いドレス。

 その赤色は、彼女から流れる血の色に染まっている――わけではなさそうだ。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ