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エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice

ジャッジとはなに?
それはさっき言っていた〝あいつら〟に関係するものなの?
だったら彼女は、審査や評価に怯えてゾンビみたいになっていたの?
極度の緊張とか?
しかし素人ならまだしも、彼女は海外での大舞台を経験しているプロだ。
その規模に比べればこんな小さなところで歌い、審査をされることがなぜあんなに豹変するまでになるのだろう。
「今日はデートです。そこにいる彼女と、プライベートで。支配人に裏から入れて貰いました」
「彼女……」
二組の目線を向けられて、無性に居たたまれない。
せめて「はい、彼女です」と言える容貌なら、よかったのに。
絶対、冗談に思われる。
「そう」
しかし彼女には、さしたる興味も湧かなかったようだ。
ただしきりに片手を反対の手でさすっており、心はここにあらずの状態のようだ。
「手、震えていますよ、手島さん」
「こんなの放っておけば……」
「ではこうしましょう。俺があなたの伴奏を引き受ける」
あたしも手島さんも、驚いて須王を見た。

