この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice

「後半戦って……」

 そこであたしは初めてきょろきょろとあたりを見渡せば、こちらに向けられている複数の視線はあるものの、ステージには手島さよりはいない。

「休憩にして貰ったんだよ。ちょっと声も苦しげになってきたし、お前が妬いていた手島へ合図して」

「……っ」

 図星をさされると、妙に恥ずかしい。

 あたしは赤くなったまま、顔を俯かせた。

「へぇ、妬いてたの、認めるんだ?」

 ああ、もう降参だ。

 あたしは自分勝手な妄想で勝手に辛く思い、そして須王の言葉で勝手に救われ、勝手に須王への想いを溢れさせているだけだ。

 須王にはなにひとつ、非はない。

 あたしは、須王の服をぎゅっと掴んで、こくりと頷く。

「……妬いちゃったの。須王と手島さん、いい雰囲気に思えて」

「……」

「妬いちゃった。あたしも須王と音楽をすれば、須王の隣に堂々と立てるのにって」

「音楽していようがしていまいが、俺の隣はお前だけだそ? 俺、お前以外の女を横に置く気は、まったくねぇから。これからも」

「ん……」

 須王が優しくあたしの頭を撫でる。

「お前、前列に来いよ。遠目だからありえねぇことを思うんだぞ?」

「ん……。でも、ここでいい」

 あたしは顔を上げ、須王をじっと見つめて言う。

「須王の言葉で安心したから。だから、須王の神聖なる音楽を、あたし……ここで見守ってる」

 そう微笑むと、須王ががばりと大きな体であたしを包み、頭の上に顎を乗せて言う。

「お前なんなの、ますます可愛くなって。これ以上、俺をどうする気だよ。ここで無性にお前を抱きてぇんだけど」

「却下」

「めちゃくちゃお前の名前呼んで、お前のことが好きでたまらねぇって叫びながら、全身でお前に俺の気持ちをわからせてやりてぇ。お前に俺の名前を呼ばせて、好きでたまらないって言わせて、ひとつになりてぇ……」

「……後でね」

「言ったな、お前」

 須王があたしの両頬を片手でぷにぷにと押してくる。
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ