この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice

 そんなことをしても、聴衆が認めないと手島さよりは救えない。
 ピアノは玩具だと言い放つ、音楽界に在籍しているらしい……嫌な奴らを、音楽でどう納得させようと言うの?

 須王の手が鍵盤の上で動く。
 手島さよりが、救いを求めているかのように、手だけをピアノの椅子に伸ばす。

 そして――ピアノの調べに乗せて、須王が歌い出したのだ。

 それは初めて聞く、天才音楽家の生声だ。

 流暢な英語で、甘く艶やかな声が響き渡ると、場はしーんとした。

 それは超絶イケメンの声だからではない。
 有名な音楽家が初めて歌ったからでもない。

 情感たっぷりな須王の声に、誰もが惹きつけられたからだ。

 それは須王の官能的な声にも似て僅かにハスキーで、サビの高い声も肩を竦めさせながら悠然と、ピアノと共に緩やかに奏でられる。
  
 豊かな音域を持つ艶やかなバリトンから、須王とのあれこれを思い出すあたしは、泣きたくなった。

 しんみりというよりも、心に迫るのだ。
 彼の持つ、声の響きが。
  
 ああ、あたし――。
 須王と同じ時代に生きれてよかった。

 心からそう思った。

 彼が愛する音楽は、楽器や育成に限定されるものではない。
 ましてや玩具だの魂だの、そうした区分けなどしていない。

 彼が好きだと思う音を、彼が自由に表現出来るゆえに、彼の作る音は多彩で情がある。

 須王の言葉より彼が奏でる音楽の方が、音楽に対する彼の想いを顕著に伝える。

 彼がどんなに音楽を愛しているのか。
 彼がどんなに音楽を汚い手から守ろうとしているのか。
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ