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エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice
 
「暗闇で体つきもわからないというのなら、声で推定は出来るだろう。微妙にピッチを変えた俺のピアノに合わせられる耳を持っているのだから」

 ピアノの音が聞き分けられて、八人の男の声が聞き分けられないとは確かに言いがたい。

 そしてあの審査員は女性が混ざっていたから、それだけで八名に入っていないぐらいはわかるだろう。

「少なくとも同じ業界にいるというのなら尚更、調査はやりやすいはずだ。あんたは監禁されているわけではねえんだ。自由時間があって、自分を苦しめる者の正体を調べなかったと言われる方が、信じられねぇよ」

 彼女は言い淀んでいる。

 ……推定は出来ているのか。

「それともあんたはこのまま、歌を歌わせられるカナリアとしてドラッグ漬で毎日を怯えて暮したいのか?」

「冗談じゃないわ!」

 手島さよりの視線が、須王の視線に絡みついた。

「もう一度言う」

 須王は力を込めて言う。

「ドラッグと手を切ろうと思うのなら、助けてやる。ただし、あんたをそんな目に遭わせた八人の名前と引き換えだ」

 その名前がわかれば、新生組織エリュシオンの黒幕を推定出来る。

「……考えさせて」

 手島さよりは頭を抱えながら、悲痛な声でそう言った。

「私達には守秘義務がある。私が漏らしたとばれたら、どんなに酷い目に……」

「だがあんたは、ポムの存在を俺達に話した。だから俺は組織と結びついて考えた。……今さらじゃねぇか?」

「それでも、違うのよ。違うの!」

 手島さよりは、ソファの上で膝を抱えて突っ伏した。

「……わかった。だったら、2日やる」

 須王は、ポケットからペンを取り出し、曲目が書かれたポスターに自分の電話番号を書いた。

「ポスターに俺の電話番号を書いた。もしも更生したいと思うのなら、電話をかけてきて欲しい」

 ……彼女から、返答はなかった。



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