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エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice
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濃厚に愛し合った次の日、須王に抱きしめられたまま目覚めた。
カーテンの木漏れ日が照らす美しい寝顔は神々しく、同時に無防備だ。
すぅすぅと寝息をたてている顔は、まるで大人版天使だと見惚れてしまう。
もし彼が、愛情深い両親に育てられ、普通の生活をしていたら、今頃あたしの隣にいない。
彼に相応しい美女が、彼に抱かれているだろう。
彼から立ち上るベリームスクの匂いを存分に嗅ぎ、欲情した彼の掠れた声を聞き、雄々しくも優しく身体をひとつにして溶け合っただろう。
五感すべてで感じる至福のセックスに、愛される喜びを味わうだろう。
……そんなの嫌だ。
想像するだけで、ちりちりと胸の奥が焦げ付く。
須王はあたしだけを見ていて欲しい。
あたしだけを愛して欲しい。
愛すればこそ、どんどん欲張りになるあたしは、須王の背に両手を回して、そっと呟く。
「……須王を誰にもあげない。あたしだけのものだもの……」
そう口にした直後、あたしの背中に須王の腕が動く。
「……なんでそんな可愛いこと、俺の寝ている時に言おうとするわけ?」
「ひっ!?」
寝ていたと思っていた男が、とろりと微睡むような目であたしを見ている。
「いいぞ? もっと言って」
ダークブルーの瞳が、差し込む光にに反射して、きらきらと光る。
なんて魅惑的な宝石なんだろう。
「俺を幸せにさせて?」
「……っ、た、狸寝入りをしているなんて……っ」
「寝ていたよ? だけど俺、お前の動きには敏感なんだ。そう、身体で教えてやっていただろう? 俺のリアルな反応を、お前の中で」
意地悪そうに弧を描く唇すら、気怠げで悩ましい。
寝起きで情事の後というのが、ますます須王の色気を倍増させている。
破壊力、ありすぎだ。
「……っ」
「お前、かなり俺のこと好きだろ?」
……くそっ、駄目だ。
確信犯的に誘惑してくる男に、あたしは勝てない。