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エリュシオンでささやいて
第14章 brighting Voice
 
 あたしは須王の首に両手を回して、その唇に自分の唇を押しつける。
 もう一回おまけとばかりに、長いキスをした。

「はは。なんなのお前」

 耳元に、嬉しそうな声が響く。

 両手であたしの頭を抱きしめてきた須王は、あたしの尖った唇を啄むと、顔中にキスの雨を降らせ、斜め上からあたしを射貫いた。

「だけどな、俺には勝てねぇよ、お前」

 そして片手を伸ばしてカーテンを開くと、窓一杯に差し込む光を浴びながら、須王は布団を剥いだ。

「ちょ……」

「今さらだろう?」

「で、でも……」

 明るいところで全裸を見られるのは、無性に恥ずかしいのだ。
 だが、もじもじすればするほど、ダークブルーの瞳が甘く優しくなる。

「もっと見せて、お前のすべて」

 そして顎を摘ままれて、彼の顔が近づいてきたら、情事が再開される合図。

 朝の光を浴びた須王の筋肉は、艶やかに盛り上がっている。
 凄惨な過去を示す傷すら、男らしくて。

 触れるだけでドキドキして、身体が熱く蕩けていく。
 
 あたしが思っている以上に、あたしの身体は須王と触れあうことに悦び、感度を高めてしまい、彼のあたしに慣れた愛撫に乱れまくる。

 キスマークがついた胸や太股。
 そこに指先だけではなく、舌を這わされ、さらにくっきりと赤い華を咲かせられて。肌を吸い上げられるちりっとした痛みすら、快楽のスパイスになる。 
 光を浴びた須王が、たまらなく魅惑的で、たまらなく愛おしくて。
 彼が欲しいと、切なくなるほどに濡れていく。

「本当にお前、可愛すぎ。こんなに蜜垂らして、俺が欲しいわけ?」

「……っ」
 
 蜜壷に出入りする須王の手が、あたしのはしたない蜜にまみれ、きらきら光っている。

 ああ、そんなに焦らさないで。
 あたしが欲しいのは、なにかわかっているくせに。
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