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エリュシオンでささやいて
第15章 Approaching Voice
「……柘榴ですべてが繋がっているのだとしたら、その裏には音楽業界が噛んでいると言えるだろう。恐らく、華やかな経歴を持ちながらも近年姿を現さねぇ音楽家も、手島さよりのようになっていねぇとは言い切れない。上層部の慰み者になっている可能性がある」
ああ、もしもそれが須王が育った組織と関連があるのなら。
無関係ではないだろう、碧姉もそうなのだろうか。
スポットライトを浴びている彼女も、そうしたドラッグ漬にされているのだろうか。
「なんで音楽なんだろう……」
女帝が呟く。
「どうせ玩具にするのなら、美しいひと達が揃っている芸能界でもいいのに。どうして音楽なのかしら」
「……本当にな」
須王は同調するだけの答えを寄越した。
組織には、音楽が流れていたという。
そしてそれは、十悪に基づいた掟も音律が決まっていたという。
音楽は、人間の意識だけではなく無意識領域にまで影響を及ぼすものだ。
統率のために音楽を用いたのだろうか。
それとも背景にいるのが音楽業界の人間だったから、悪趣味な音楽でも、携わっていることが音楽家としての自己満足だったのだろうか。
新旧問わず、組織エリュシオンの影にいるのと、AOPを快楽の道具に使っている一連の事件の黒幕も、同じなのだろうか。