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エリュシオンでささやいて
第15章 Approaching Voice
「遥くんが出現しなかったら、どうするの?」
「それは……お前に決めて貰いたい」
「え?」
「HADESには、ペルセポネの声が必要だから」
甘い眼差しに、女帝が顔を赤らめた。
「……ひっどいの連れてくるかもよ?」
「俺はお前の音楽性を信じている」
そう言われたら、あたし――。
「わかった。だったら、自信もって選ぶね」
遥くんがいなかったら。
勿論、あたしが推挙するのは――。
「くふふふふふ」
思わず笑ってしまうあたしに、須王と女帝は怪訝な顔を向けていた。
~♪
その時、バイブにし忘れていた着信音が、LINE通知がある旨を伝えた。
「あ、裕貴くんからだ」
「……なんで学校から、柚にLINE送るんだよ、あいつは! なんだって? 内容によっては、あいつをしばく!」
須王が指の骨をバキバキと慣らすため、それを諫めながらLINEを読んで聞かせた。
『学校に行ったらさ、なぜか警官がたくさんいて。紙コップ渡されて、トイレでおしっこを入れてこいって言うんだ』
「警察が尿検査?」
あたし達は首を捻る。
『学校側からも、説明ないし、警官も終わるまで教室出るなとしか言わなくて、事実上軟禁みたいなものだし。だから父さんに連絡してみたんだ。一応、お偉いさんだからなにか知っているかなって』
裕貴くんのお父さんは、警視総監だったわよね。
『でも出てくれなくて。結局なんだかよくわからないけれど、時間がたってそのおしっこの検査(?)が大丈夫なら帰れるみたい』
……腎臓とか悪かったら、病院に入れられてしまうのかしら?