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エリュシオンでささやいて
第15章 Approaching Voice
『それとさ、クラスの出し物とかってないから、すっかり忘れていたんだけれど、再来週文学祭があってね。それが出来なくなるかもしれないって、教師から聞いた同級生がいて。それで只今クラスが大ブーイング中』
「あいつは、なにを長々と……。余程暇なのかしら」
女帝が苦々しく笑っている。
『今まで文学祭なんて適当な学校だったのに、なんでそこまで? と思ったら、シークレットゲストに、皆が期待していたみたいで』
シークレットということは、本来当日発表になるのだろうけれど、きっとそれを裕貴くんの同級生達は、先に知っちゃっていたということよね。
『それがなんと……HARUKA! 思っていた以上に、口コミとかで超人気になっていたみたいだよ』
なんと、話題のひとだった。
「HARUKA!?」
須王が声を上げ、あたしは頷きながら、次に来たメッセージを読み上げた。
『カミングアウトをしたのは、クラスにいる生徒会長なんだけれど、前々からHARUKAのライブを見た帰りに、何度も打診していたようで。でも全然返答がなくて、粘って粘ってようやく携帯に電話がかかってきたのが数日前。よく聞くとさ、日程的に……遥が手術室に行った後なんだ』
どういうこと?
『しかもさ……昨日も、HARUKAは無料ライブを開いて歌を歌っていたらしい。何人かの生徒が見に行っていたようなんだよ』
あたしはすぐさま、メッセージを入れた。
『もう蘇ったということ!?』
『わからないけれど、こういう噂もある。今日、HARUKAのシークレットライブに行ったという仲良しグループが複数休んでいるみたいで。……どうも皆、突然おかしなことをし始めたらしい。家族に連絡とった奴もいて』
おかしなこととはなんだろう?
物騒な展開に、あたし達は眉を潜める。