この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第15章 Approaching Voice
 
 感動したあたしに、天使は情熱的なキスをして――そして唄ったのが、この歌だ。

 名も無き、賛美歌のような曲を。
 これは……遥くんの歌声かもしれない。

 ああ、天使は生きているじゃないか。
 遥くんだってちゃんと生きている。

 誰も死んでいない。

 思わず顔に笑みを浮かべたあたしの耳に、須王の声が届いた。

「瞋恚……! くそっ、遥は瞋恚に割り当てられたのか!」

 薄れる視界の中、あたしは本当にぼんやりと思った。

 瞋恚――それは確か、十悪のうちのひとつだと。

 どうして天使が、悪なの?

 そしてあたしの頭の中で、別の音楽が同時に流れる。
 ベートーヴェン 交響曲第9番「歓喜に寄す」

 どこに住んでいるのかと尋ねた時に、天使が唄ったものだ。

 Freude, schöner Götterfunken,
 (歓喜よ、美しき神々の煌めきよ)

 Tochter aus Elysium,
 (楽園から来た娘よ)

 Wir betreten feuertrunken,
 (我等は炎のような情熱に酔い)

 Himmlische, dein Heiligtum!
 (天空の彼方、貴方の聖地に踏み入る)


「エリュシオン……」


――……いか、……は、……なのだ。

 誰かがなにかを言っている。

――エリュシオンでは、……は……。

 誰?
 ねぇ、あなたは誰?

――それが、柘榴の使命。


 暗転(ブラックアウト)――。
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ