この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第15章 Approaching Voice


 タクシーは恐ろしい乗り物だったと知ったあたし。
 だからすぐに目的地まで、公共機関で……とは、ならなかった。

「俺もお前も血糊べったりなスーツだ。そんなのが歩いてみろ、ゾンビどころの話じゃねぇぞ」

 上着を脱いでも血の飛沫痕は、白いシャツにまで及んでいる。
 それでなくとも須王は有名人だ。
 眼鏡をかけたとしても、こんな格好で歩いているのがばれたら、マスコミの餌食になってしまう。
 少なくとも、トマトケチャップをこぼしてお散歩……とは書かれないだろう。

「レンタカーを借りる手もあるが、借りた時の形状のままで返せる保証もないしな……。爆発なんかしたら、その保証がいちいち面倒だし」

 さらりと。怖いことを呟いた須王。
 その頭の中は、凄まじいカーアクションの末の惨状が映っているのだろうか。

 それは結構、のーさんきゅー。
 
「監視がついているのを懸念して、服を替えた方がいいな。てっとり早く、そこらへんの店に入って、走りやすいものにしよう」

 ……なぜ、走る必要があるんですかね?

「ここにするか。本当なら柚に脱がせやすいドレスを買いたかったが、それはまたの楽しみで」

 ……なぜ、脱がせやすいという条件が加わるんですかね?

「須王が買わなくていいよ。服くらいあたし、買えるし! あ、あのマネキンが着ているのがいい! あの色がいいわ!」

 紺色ならあまり汚れもわからないし、ああいうカジュアル服ならきっと、お手頃価格なはず。
 今、手持ち金は……。

「お前……本当に不意打ちで可愛いことしてくるよな。これ以上、俺の色(ダークブルー)に染まりたいのかよ」

 なにかぶつぶつと聞こえて、あたしは須王を見た。

「あ、ごめん。考え事してた。もう一回言って?」
「いや、いい」

 なんで須王、照れているんだろう。
 不思議に思うあたしは、視界に飛び込んだその価格に目を見開く。

 ……桁が違った。
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ