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禁断背徳の鎖外伝・小指の選択
第5章 心の中の焦り



「オリバーさん、双眼鏡貸して?」


「おう、構わんぞ」


俺から双眼鏡を受け取って、楽しそうに彼方此方と眺めてる…
その表情に、先ほどの冷たさは‥‥無い。



「綺麗…
双眼鏡だと、はっきり見えるね」


「太陽見んなよ?」


「分かってる…」


あっ‥ちょっとだけ膨れた…


こういう表情も良いな、俺本当に美紀さんの変わる表情にいちいち反応…
こんな事、俺だって初めて‥少し戸惑う時もあるが、プライベートとして美紀さんの側に居るのは好きだ・・



「・・・・・」


「美紀さん?」


「・・・えっ!?」


今‥ボーっとしていたような??



「・・ちょっと考え事してただけだよ…
望遠鏡ありかとう」


「ああ…
ベンチにでも座る?
俺、アイスコーヒー買って来るから」


「うん、そうする」


美紀さんをベンチに座らせ、俺は美紀さんが見える範囲にあった移動販売車にコーヒーを買いに…



(やっぱりボーっとしてる?)


数人の順番待ちに並びながら、向こうに座る美紀さんを観察…
こう‥何も見ていないような、ボーっと前をただ向いている感じ。



(さっきまで楽しそうだったのに…)


何を考えたのだろう?


見る感じじゃ、あまり良い事は考えてなさそう…
もう少し別の場所に連れて行くか?



(後なぁ…
博物館か航空博物館‥‥って、博物館ばかり)


チャイナタウンというのもあるんだが、少々治安が悪いので、美紀さんを連れて行きたくない。



「アイスコーヒー2つ…」


注文しながらも、何処が一番良いかと悩んでしまう‥多分一番は議事堂だろうけど…



(・・逆に普通の方が良かった?)


ワシントンにだって、ショッピングセンターや映画館のような娯楽施設はあるんだ、そっちにしておくべきだったのだろうか‥悩みは尽きない。


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