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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第10章 拡大と安定



コーヒー1杯飲んで待合室に戻って見ると、叔父と医者が1人・・



「やっと戻って来たか‥」


「早乙女氏‥こちらは?」


医者は私を見て不思議顔、何か変か??



「ああ、兄貴の息子だ‥
このなりだからな‥」


「・・早乙女紀永です」


なるほど、見た目の問題か、シャワー後直ぐ飛び出したから。



「これは失礼、では話の方を‥」


医者の案内で、空いていた診察室に通された。



「はっきり言って構いませんか?」


「ええ‥
父の様態は‥‥」


「・・・
保って数日から1週間‥
今まで、普通に過ごしていた事が不思議なくらい‥‥
元々、先天性の心臓疾患、此処まで保ったのが奇跡に近いんです」


「・・・
そうですか・・
先天性の事は知っていましたが、此処まで悪化していたとは・・・」


療養を兼ねていたのに、今回に限って無理をした、それが原因。



「父に・・会えますかね?」


「意識があれば大丈夫でしょう‥
ですが、これが最後だと思って下さい‥‥
何時また意識不明になるか分からない、そして意識不明になれば、再び目を覚ます事は無いと思います」


「・・・・・」


痛い言葉・・・


現実と受け止めながらも、何故父と話をしなかったのかという、後悔の念も・・


父の言葉の通り、本宅に行けば良かった‥
もう少し、父とは話をしたかったとは思う。



麻酔と睡眠薬が覚めるには、後数時間掛かるらしい‥
この感じだと、暫くは事務所の方には顔を出せない。



(・・・
葉山には‥‥朝になってからで良いか・・)


あっちも、慣れない事をして疲れているだろう‥
仕事時間前に、連絡をすれば済む事だ。



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