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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第10章 拡大と安定
「IT企業と謳っておきながら、今の本社上層部はあまりにも専門が居なさ過ぎる‥
紀永、お前が本社上層部に入ればな、状況が一変するだろうに‥‥」
「・・・
酒の匂いを消すのに、コーヒーでも買って来ます」
「・・・・・」
一度、朔夜叔父から離れて、正面ロビーの自販機に‥
ホットコーヒーを1つ買い、照明が殆ど落とされいるロビーの椅子に座った。
(・・・
何度同じ事を考えただろうか・・・)
本当に酒の匂いを消す為に、コーヒーに口を付けながら、何度も思った事を思い返してしまう。
「・・・とっくの昔に思っていたよ・・・16の時からね・・・」
『本社を変えるなら、根本からシステムを見直さないと駄目だ』
この考えを、私はどれだけ繰り返し考えて来た事だろう‥
もう11年、回りくどいやり方でも、少しずつ考えに近付いて来ていた‥‥それなのに・・・
「どうしてこう‥肝心なところで、上手くいかないのだろうね・・」
今回も、もう少し時間があれば、全て上手く回す事が出来た筈。
(父が社長を退けば、やはりバランスは狂う‥か‥‥)
皇や田野倉が暗躍している今、社長に抜けられると、かなりキツいものがある。
父は‥社長は、早乙女系で数少ないプログラマーの1人‥
それが抜けてしまったら、上層部は本当に経営だけの集団になってしまう。
皇と田野倉の思う壷‥
そうさせない方法は数少ない。
「もう少しだったのに‥
なかなか運は見方をしてくれないね‥‥」
少々自重気味に笑って、またコーヒーに口を付けた。
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