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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第10章 拡大と安定



「もう20年は前ですからね」


「その20年以上前の話を持ち出すな」


「ただ持ち出した訳では‥
今回は、叔父のその行動力に掛かっていますから・・
如何に早く重役陣を抑えるか、一番はこれでしょう」


「迅速に行動しろ‥と?」


「流石に話が早い‥
勿論、私も動きますよ、田野倉の前に出た姿で‥‥
何事にも会長に似ているのは好都合、その点は叔父より私の方が似ている」


「・・・
その冷酷さがか?
確かに俺には、あって無きがだが‥
一度そのスタンスを取ると・・・」


「後戻り出来ないのは十分承知‥
既に田野倉の前に出てる、今更引く事も出来ないのなら、前面に押し出す‥‥そろそろ表に出ても良いでしょう、その代わり色々予防策は取ります」


父に似せれば良い事だ、方法は幾らでもある・・・


もう少し、叔父と話を詰めようと思ったが、医者から目が覚めたという知らせが・・・


話は一旦中断、今は父の様子を見る事が優先事項‥‥と思ったら、朔夜叔父は中に入らず、私1人が中に入る事に・・



『2人の方が良いだろ』


そう叔父は言い、もう少し待つと待合室から動く事をしなかった。



(気を‥使われた・・)


ICUに入る為に白衣に着替えながら‥‥


多分に‥最後になるから親子で話せと言われたような叔父の言動に、本当にこれが最後なんだと、唇を噛み締めてしまう。



(・・何を話せば・・・)


こうなると、話す言葉が見付からない‥


色々話したいような気もするし、何も話せないような気も‥‥


私は、どうすれば良いのか‥
此処まで土壇場だと、人間は何も考えられ無くなるようだ。



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