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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第10章 拡大と安定
「・・・本宅を避けていたのは知っていたよ・・・・そして来ない事も・・・・伊達に紀永の父親ではないよ私も・・・だけど‥そうだね・・こうなる前に、話はしたかったかな?」
「・・・
すみません‥父さん・・・」
やはり気付かれていた‥
親子なのだから、それくらい読まれて当たり前。
先天的に身体は弱いが、頭の回転なら早乙女内でも一~二を争う父だ‥
あのパーティーの時も、知りながら話された‥そう思う。
「・・紀永・・・好きなようにやりなさい・・・それが紀永の道を開く早道・・・私はもうこれしか言ってあげられないが・・・ずっと紀永を応援していたし、これからもそうだろう・・・・・躊躇わないで自分の道を・・・良いね?」
「・・・はい‥父さん」
父はなにかを知った上で‥
好きにやるのが、私の早道‥‥だとしたら、これからやる事も妨害はされない筈・・・
流石に話過ぎたのか、此処で医者に止められた、少し休息が必要だと。
名残惜しさを残しつつ、ICUを出たが、父の言葉が耳に残る・・
「・・・・・」
また待合室の椅子に座り、少しだけボーっとしてしまう。
奇しくも、父と祖父の同じ言葉‥『好きに‥』この言葉に秘められる意味は??
これは、もう少し後になってから、私は知る事になる・・・
また数時間置いてから、今度は朔夜叔父がICUに入った。
叔父は、そこまで長く父と会っていた訳では無く、着替えと合わせ10分程でICUを出て来た。
「・・流石に‥辛いな」
「ええ・・
ずっと覚悟はしていた筈なのに・・・」
元々長くは生きられない、そう言われていた父‥
だから、ずっと覚悟はしていた。
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