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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第10章 拡大と安定



"ガチャ・・・"



「・・・・・」


殆ど入った事の無い社長室・・父の部屋・・・


基本的に無人とも言うが・・・



「・・・
あまり‥物が無い‥‥」


社からの物はあるが、私物という物が見受けられない‥
父は、初めから予期していたのだろうか??



「ふぅ‥
いきなり社長と言われても・・・」


向こう‥事務所の方もある、さて‥どうしたものか・・


それに今は、残り少ない父に付いていてあげたい。



「・・・
どうだ、少しは我が叶った気分は・・・」


振り返れば、扉の前に立つ会長‥それも1人で‥‥



「どう‥か‥‥
私は私の好きなようにやるだけだ、それが父の意志でもある」


『好きにやりなさい‥』


父は確信が籠もった言葉でこう言った‥
だとしたら、私は自分のやりたいようにやる・・



「洸紀か・・
もう保たんらしいな‥
いや、今まで保った事が奇跡・・」


「・・っ!
知って‥‥
知っていながら、本社に来る事を止めなかったのか!?」


「それが洸紀の意志だった、それだけだ・・」


確かに本社に来たのは父の意志、だが止めようと思えば止めれた筈!


相変わらずこの会長‥この祖父はっ!!



「・・・
命を賭けた派閥争い‥
そこまで楽しかったのか会長は‥‥」


「命を賭けたからこそ、押し通したと思わんか‥
安定を望んだ洸紀の意志だ、お前が口を挟む事でも無い」


「・・相変わらずのやり方だ・・・」


会長としてなら、私はこの会長が大嫌いだ‥
命よりも早乙女を優先する、もう後が無いというのに、まだ早乙女で居ようとする会長がっ!



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