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第10章 拡大と安定

とは言え、早乙女本家長男の葬儀‥
座る席順で、早乙女内での強弱が良く分かる。


中央の通路を挟み、両端に私と会長‥
会長の隣に朔夜叔父、そして私の隣に恵美里叔母‥‥


恵美里叔母は会長の長女、外戚である遠藤と婚姻し外戚扱いではあるが、外戚筆頭には変わりは無い。


恵美里叔母の隣に‥本来は息子の考一郎なんだろうが、生憎と海外出張で不在‥
変わりに孫の伊織が、恵美里叔母に付いて来ている。


朔夜叔父の隣には皇‥
外戚で力のあるのは、この辺りまで、後は語らずとも早乙女という名だけの烏合の集だ・・



葬儀は何事も無く穏やかに進行して行く‥
流石に私も会長も、この場で言い争いをする程馬鹿じゃ無い。


型通りの葬儀が終わり、参列者が帰り出すのを見て、私も漸く腰を上げる・・



"社長のご子息でしょう‥
後を継いで社長になったって聞きましたわ‥"


"まだ独身でしょうご子息は‥
傷心のご子息の心を射止めれば・・・"


"くすくす‥‥
みんな思う事は一緒よね、ご子息は本家直系だもの・・・"



(・・・
こんな場でまでっ！！)


密かに聞こえる話し声‥
それは‥本家直系を狙う外戚の女共、こんな場所ですら、考えるのはそれしか無いのか？



(・・馬鹿らしい‥‥)


私が一番嫌いな人種‥
苦労もせず、ただ玉の輿を狙うだけの女、特に早乙女外戚はその傾向が強い。


だからこそ、私は表向きの女に見向きもしない、かなり手痛い思いもした。


もう此処まで来ると嫌悪感すら感じる‥
それなら私は一生独身で構わない、逆にその方が楽だ‥‥あんな女共に付き合うよりは・・・



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