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第12章 虚偽と真実

(そういえば‥
葉山が一度確認して欲しいと言っていたね)


相続問題に関係するから、一度遺品の確認をと‥‥


そうは言っても、相続に関係する物は少ない‥
せいぜい所有の車と宝飾品、それに後で見てみるが債権関係‥多分そんな物・・・



「・・・
あった‥それもこんな隅に・・」


広いクローゼットの一番奥に、綺麗に包材された絵が数枚置いてあった。



「・・・・・」


開いて見ようかと思ったが‥‥止めた‥
今の私がこれを見ても、父の言った言葉は実行出来そうに無い‥そう思ったから。



『絵を描くのを止めないで欲しい』


余裕の無い私では、まだまだ無理な話‥
自分のプライベートですら見付けられずに居るのに、時間の掛かる絵は不可能に近い。



「・・・・・」


コツっと少しだけ絵に触れて、後は葉山に言われた遺品チェックをしただけで、クローゼットを出た‥父の私物‥今の私では荷が重過ぎる。


ベッドルームをチェックしてから、もう一度隣へ‥
此処には、父がプライベートで使っていた端末が置いてある。



「さて‥パスワードは昔のままかな？」


立ち上げ、パスワードの入力画面‥
まだプログラミングを習っている頃に、父から教えて貰っていたパスワード・・・



「・・・・・・」


あの頃と同じパスワードを入力したら、ロックが解除‥
父はずっと変えていなかった。



「・・・
これは‥
意外に株取引まで‥それも収益は大幅黒字‥‥」


何となく知ってはいたが、此処まで大きな物だったとは‥
収益額が予想を遥かに上回る‥私は株取引はやらないが、名義変更だけしてそのままにしてしまおうか？


一応葉山に連絡を取り、株取引の話‥
名義変更で構わないらしい‥膨大な収支と共にだが・・・


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