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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第12章 虚偽と真実



「・・・??
先に名義変更申請してある?
それも変更先は私・・」


聡明な父だ、見越していてもおかしくはない‥か‥‥


もう少し詳しく見てみると、株取引だけではなく、債権関係や土地関係も、生前贈与の準備をしていた事に気が付いた。



「・・・
適わないね‥‥父には‥‥」


外見には、殆ど親子関係が無いのではと思われる程、本宅からも父個人すら離れていた私だというのに‥‥


裏でこんな事をやっていたとは‥
何となく理由は分かる‥‥私の為‥‥


私の方は必要としなかったが、父は何かの時にと、本宅から出来る方法で、父なりに資本を作っていた。



「私の・・見方・・」


端末を落として、椅子に座ったまま目頭を押さえて‥
途方に暮れる訳では無いが、父が残した偉大さに、頭が下がる気持ちでいっぱい・・・


私では、まだまだ父に適わない‥
物静かながら、芯は私以上に強かったようだ‥‥


周りは、会長の言いなりの長男というイメージだったが、とんでもない見当違い‥
かなり周到に物事を進めていた・・・本当に父らしいやり方・・・



「本当に・・・適わない・・・」


こうなる事を予期していたように、全てのお膳立てを整え‥
これでも、病院で語った父の話だと、まだ秘密があるらしい。


何処まで用意周到なのだろう、私など父の足元にも及ばなかった‥これを見て、しみじみ実感した。




一通り見終わってから、父の私室を出て、次に向かったのはリビング。


此処は父や私、そして一時期ながら美里が良く集まっていた場所。


システムキッチンに、ミネラルウォーターくらいあったので、それを使いコーヒーを落とし、窓際にあるソファーに座った。


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