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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第4章 本能と後悔



美里が本宅に移り、私も16才になり会長に半強制的に子会社に入社させられ忙しい日々。


そんな日常の中、珍しく皇が本宅に来ており、私と美里の2人が応接間に呼ばれた。


話は、たわいもない事だったのだが、最近免許を取った美里は運転したくて仕方が無い様子。



「このシーズンしか写せない風景があるんだ」


「じゃ私が行くわよ…
紀永は忙しいからね」


「そう…
少し遠いけど大丈夫かい?」


「勿論、車だったら直ぐよ」


そんな会話を皇はにこやか顔で聞いていて…
穏やかな団らんなひと時、そう思っていた‥‥この時は・・


これが美里との、最後の会話になるとは思わないで・・・



次の日、学校と仕事の私は早く本宅を出‥‥美里は午後からドライブがてらに撮影に行くと言っていたから、言葉も掛けずにそのまま出た。


そして・・・


峠のカーブを曲がり切れず、車は崖下に落ち……


救出された時、美里はまだ息があったが生存は絶望的…
その中で、お腹の子供に影響が無い事から、子供だけを助ける‥そう医者は判断し、子供を取り上げたと同時に美里は息を引き取った‥まるで子供に全てを託すように・・・


だからこそ、何度も会長に噛み付いた…
早乙女どころか、皇で引き取る事も許さなかった会長。


全てを無かった事に…
これが会長が下した判断であり、早乙女一族ならば絶対逆らえない。


私は一度だけ抱いた娘をこの手に取り戻したい、彼女が残した最後の・・



たった一度だけの過ちの結果…
私が美里と関係を持ったのは、あれ一度きりの話。


それでも私の娘には違いなく、こうもがいて3年…
私はまだ何も成してはいない、娘をこの手に取り戻すなど遥か彼方。


彼女の事を思い出せば、後悔の言葉しか浮かばない、だから心の片隅にはしておきたい‥‥辛いのは私‥‥だ・・・


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