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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第12章 虚偽と真実
この書類の日付を見れば、私が倉原に娘を渡して1年も経っていない頃‥
最初から調べは付いていた、ただ話す事は無かっただけ。
「私だとて人の子だ‥
孫がひ孫が可愛く無い訳が無い‥
それも、早乙女直系では珍しい女の子‥
もし危険な場所に預けているのなら、密かに保護しようと思って調べさせたが‥‥お前の方が一枚上手だったよう」
「・・・・・」
言葉が出ない‥
まさか、祖父が動いていたとは‥では父もこの事は知っていた・・
「潜在的に実力は備えている‥本気になれば誰よりも簡単に、のし上がるだろう‥
だから私は洸紀と約束した、紀永のやる事に口を挟まない‥好きに自由にやらせる‥‥
それが伸びる一番の近道、そう洸紀は言った、そして私も了承した、未来の会長を作る為に・・・」
全ては会長と‥父の策略・・・
『好きにしろ』
この言葉には、こういう意味が含まれていた。
『好きにやりなさい』
父も同じく‥
そして、祖父が父に伝言した"約束は守った"とは、私の意見を‥好きにやらせたと、父に伝えたかった・・・
「・・・私は・・・」
「紀永‥お前にはすまないとは思っている‥
洸紀も言っていた‥此処まで娘に執着するのなら、違う方法を考えてやるべきだったと‥
それは私も思った事、だがお前が会長になれば、早乙女はお前の自由だ‥娘もお前の手に戻る‥‥
私は恨まれても仕方無いがな、この決断をした自業自得‥だが後悔はしていない」
「・・・・・」
近くにあった椅子に腰を下ろしてしまう‥
全ては‥私を会長にする為に‥‥
その最善策が、私の娘の認知をしない事、それが私を本気で怒らせる唯一の方法だと、祖父と父は気付いていた。
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