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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第15章 栄光と影



「早乙女会長としては、理想的な形にはなったがね・・・」


3階の、私のプライベート空間‥
1階2階より、広さ的には少々狭い作りだが、私1人で使うには広過ぎる空間。


私室として2部屋‥
1つ置いて、リビングダイニング、個人用の応接室‥使っているのはそんな程度で、後は全て空き部屋状態。


父や祖父が残した物を収納している部屋もあるが、それでも半分以上は空き部屋。



「広い屋敷に、本当の住人は私1人‥‥」


早乙女会長は理想的だが、私‥早乙女紀永は?


朔夜叔父が言った通り、私は1人‥
元々1人だったと言えばそれまでだが、こうして無駄に広いリビングダイニングに1人で居ると、心にぽっかりと穴が開いたように感じてしまう。



「・・・
後4年・・・」


倉原の約束まで‥娘が18才になるまで後4年ある‥
最低でもそれまでは、私はこの屋敷に1人‥‥


嫌という訳では無いが、私だとて人間‥とうとう30才で独身男という、かなり情けない状態。



「・・・
今更女性と、どうこうという気も無いが‥‥」


1年‥仕事としては、ありとあらゆる事をやり過ぎて、プライベートを楽しむ時間などまるで無し‥
更に私が独身者という事もあり、この早乙女邸に雇った9割りは男性。


それぞれ訳ありという、変わった経歴の持ち主が多いが、こういうタイプの方が信頼性は高い。


1年雇って離職者は0‥
大概は独身者で、隣の別棟での住み込み‥‥
女性が居ない訳ではないのだが、40代超えの訳あり女性が殆どで、この屋敷から出れば、命の危険すらある女性も居る。


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