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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第16章 真実と偽り
「前にも‥同じ事を言っていました‥」
「ああ・・
言った覚えはある‥人の受け売りとも‥
あの言葉はね、父が私に言った言葉なのだよ‥‥
好きにやりなさい、それが私の道を開く一番の近道‥
そう父は言い残した、そして祖父も‥今はそれで良かったと思っている」
「そうでしたか‥
好きな道‥私は紀永叔父のその言葉で、秘書になる道を選びました」
「それが伊織がやりたかった道‥
だとしたら、それを貫けば良い、十分以上に秘書としての素質はあるのだから‥‥
とは言っても、多少の公私の区別は欲しいところ、あまりに堅すぎるのなら、会長をしている時も伊織と呼ぶよ?」
「・・・
それだけは本当に勘弁して下さい‥紀永叔父‥‥」
本気で嫌そうな、遠藤の顔‥
こういう表情も久しぶりに見た気がする。
「そういう伊織の方が伊織らしいね‥」
「今の紀永叔父に言われたくありません‥‥」
この一件から、遠藤の対応もかなり穏やかに‥
そして引いていた一線も、どことなく消えたように思える。
ただし、逆に口五月蠅くはなってしまったが、余所余所しいよりは余程マシ‥
漸く、信頼できる秘書として完成されたという感じか‥‥
多分葉山は、私のプライベートでも突っ込みが入れられる遠藤を、側に置く事を選んだのだろう‥
それくらいの予想は付いてはいた。
葉山では、仕事としては言い合えるが、私のプライベートには殆ど介入しないし、介入しようとはしなかった。
葉山なりの一線‥
だからこその遠藤‥私はそう思っている。
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