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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第16章 真実と偽り
散々考え、海外の風景を選択‥
ゆっくりと絵にしてみる事に‥‥
1枚の絵が、そんな簡単に出来る訳も無く‥
その間に、店舗部分の外‥街を少しだけ出歩く事なんかも始め、画家 杉田季永として、同じ商店街の人達にも顔を覚えられていった・・
「あらあら杉田さん‥」
「おや?
散歩ですか??」
最近は、アトリエの前で少しだけフラフラしていても、声を沢山掛けられる‥
私に取れば新鮮な感覚、こういう普通は経験した事が無い。
「ええ、今日は天気が良いので、向こうの手芸屋さんでお話ですよ‥
あっそう、貰い物で悪いんだけど、杉田さん貰ってくれません?」
手に持たされたのは、沢山の林檎‥
「いっぱい貰っちゃって、ほらうちは2人だから全部は食べ切れないのよ‥
杉田さん若いから、食欲はあるでしょう?」
「まあ‥人並みですけど‥
林檎、ありがたく頂戴します‥‥」
こんな調子で、良くお菓子や果物なんかを貰う‥
後で聞いたら、私が1人暮らしと思い、周りはなんやかんや気を使ってくれていた‥らしい。
「・・・
普通は‥良いね‥‥」
気取らない温かさ‥
私には、ずっと無縁だったもの‥今だけ、こうして杉田季永としているだけの間の、数少ないふれあい・・
「何を見ていたのだろうね私は‥‥」
貰った林檎をかじりながら店の中へ‥
早乙女として産まれてしまったが故に、見れなかった人のぬくもりが此処にはある‥
いや、目的の為に私自身が見ようとはしなかった、こうとも言うべき。
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