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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第16章 真実と偽り
20代の頃は、杉田季永の方が偽りだった‥
だが今、早乙女会長という仮面を被っている私は、杉田季永の方が真実に近い。
皮肉な逆転‥
目的に近付けば近付く程、早乙女会長は私本来の性格から遠ざかっていく。
全く別とは言わない、今まで培って来たものが早乙女会長‥これはこれで私の意志‥
その忙しさで、すっかり忘れていたものが、今の杉田季永‥
元々の私の性格、これもまた私‥‥
(変わりは無いのだけどね‥
多少作っているだけで、私の性格からズレている訳でもない‥‥)
高圧的な物言いは、仕事として作ってはいるものの、それは子会社時代とそう変わらない。
1つ違うとすれば、祖父から習ったカリスマ性‥
これは子会社時代には無かったもの、だが今の私には必要なもの‥違いはこれだけ‥‥
計画的に作った、早乙女会長としてのカリスマ性が、逆に私を縛る‥
今では、早乙女会長として自由に外に出るのもままならない程。
謎の人物早乙女会長‥
このイメージを崩す気は無く、表立っての行動は極力控える‥
まあ、私の女性嫌いも、かなり影響しているが‥‥
業務が終わり着替えてから、運動ついでのマウンテンバイクに乗り、地下道をひた走るのが、最近の日課。
殆ど屋敷内の、私の密かな楽しみ‥
地下でも動いている分、風を感じられて気持ちが良い。
「随分増えた‥」
すっかり馴染んだアトリエ内‥
始めは描けるかどうかと思っていたが、1枚描ければ後は意外に簡単に描く事が出来た。
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