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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第17章 孤独と希望
「‥私‥‥
綺麗なんかじゃ無い‥です」
「そうかな?
私は綺麗だと思うよ?」
陰った瞳で私を見た途端、少し瞳を和らげたと思ったら‥
「あ‥あのっ!
すみません、お邪魔‥ですよね‥‥‥」
口から出たのはそんな言葉‥
なるほど、アトリエという事で、客でも来ると思われたのか‥‥
「そんな事は無いよ、なにせ開店休業みたいな場所だからね、私の趣味だよ」
「趣味‥‥ですか??」
今度はキョトンと‥
良く表情が変わる、そしてそれを見ていて飽きない私。
「そう、君は絵に興味があるのかな?」
私の言葉に、彼女は店内の絵をクルリと見回し‥
「私‥‥
こんな絵が‥書いてみたい‥‥‥」
純真な心‥
本当に絵を描きたいという気持ちが丸分かり‥
普段なら断りそうな私まで、自然に言葉が口から出ていた。
「じゃぁ、暇な時に此処においで‥
午前中はやっていないけど、午後からなら此処に居るから、教えてあげられるよ?」
「えっ‥
良いんですか!?」
「良いよ、私も此処で1人なのも寂しいからね」
これは本当‥
このアトリエは基本的に私1人、誰も来ないのも少々寂しいとは思っていた。
「じゃぁ‥じゃぁ!
暇な時に来ます、絶対に!!」
凄く嬉しそうな笑顔、私の心まで穏やかになるような、あたたかくなるような‥
「うん、待ってるよ」
「はいっ!!」
これが彼女との、初めての出逢い‥
不思議な程嫌な感じは無く、純粋に絵を教えてあげたい、そんな心‥
あの澄んだ瞳に強く惹かれた、穢れを知らない純粋な瞳‥
だが、これが運命の道を踏み外す第1歩だと、この所私も彼女も一切気付いていなかった‥
こんな‥残酷な奇跡があるのだと。
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